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うめき木

 昔、阿蘇神社の楼門(ろうもん)を建てかえることになって、適当な大木(たいぼく)を探していました。ちょうどその時、乙姫(おとひめ)の下谷鏡山に1本の大木がそびえていたので、皆の意見がまとまり、それを楼門の柱用に切り出すことになりました。

 早速、こびきが大鋸(おおのこぎり)で切り始めました。あまり大きいので1日では切れません。途中でやめて翌朝行ってみると、切口がつながっていて、また最初から切らねばならないのです。

 人々は話し合って、昼夜を通して切ることにしました。夜はたき火、松明をたいて、ようやく2日掛りで切り倒しました。そして、枝を落し、長さを合せて切り、道に出して馬に引かせるばかりにして帰りました。

 翌朝、馬を何頭か引いて行ってみると、その木がありません。よく耳をすますと、深い谷底からうめき声がきこえるのです。みんなはびっくりして谷底へ行ってみると、道にあった木が谷に転がり落ちて

「うーん、うーん。」

と、うめいているのです。どうにかしてその木を谷から上げようとして、大勢の人が力を合わせますが、決して動きません。人々は、とうとうその木を楼門の柱にすることをあきらめました。その大木は、その後も長く谷の川底に沈んだまま

「う-ん、うーん。」

と、うめいていたので、人々はそれをうめき木とよびました。そして、うめき木は今もなお、その谷底に横たわっているといわれています。

参考

くらしのあゆみ 阿蘇 -阿蘇市伝統文化資料集-


カテゴリ : 文化・歴史
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