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ふるやんもり

民話

ふるやんもり

 山の中の一軒家に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

ある晩のこと、馬どろぼうがこの家にしのびこんできました。

そして下家から天井にはいあがって二人の寝しずまるのを待っていたのです。

いろりの前でおばあさんが話しかけました。

「なあ、おじいさん、この世の中で一番おそろしかもんな何じゃろね」

「わしゃあ、とらおおかみが一番おそろしか」

おじいさんがそう答えた時、裏口にちょうど、とらおおかみがやってきました。

おばあさんは、

「わたしゃ、ふるやんもりがおそろしか」

と、いいました。

どろぼうもとらおおかみも、それをきいて、

(そんなにおそろしい、ふるやんもりというのは、どんな化けものだろう)

と考えたのでした。

 ちょうどその時、急に雨が降りだして、天井から雨がもり始めました。

「ほらほら、ふるやんもりばい」

おばあさんがそういったので、どろぼうはあわててにげだそうとして、下屋からすべり落ちました。

とらおおかみが二人の話を聞こうとして入口で聞き耳を立てていた所へどろぼうが落ちて来たのです。

びっくりしたのはとらおおかみ、背中にしがみついたどろぼうを、すっかりふるやんもりと思いこんで逃げだしました。

 降りおとそうととらおおかみ。

どろぼうの方は、馬の背中と思ってしっかりつかまっています。

とらおおかみは必至で跳びはねました。

はねとばされたどろぼうは、井戸の中に落ちてしまいました。

とらおおかみは、森に帰って来て動物たちにその話をしました。

ものずきのさるが、その話を聞いて、井戸のなかをのぞきにやってきました。

井戸のなかは暗くて何も見えません。

さるは、長いしっぽで井戸のなかをさぐつて見ました。

馬どろぼうは、なんとかしてはい上がろうとしていたので、これさいわいと、さるのしっぽにつかまりました。

その時、しっぽが切れてしまったので、それ以来さるのおしりは真っ赤、しっぽも短くなってしまったということです。

参考

くらしのあゆみ 一の宮 -一の宮町 伝統文化研究会-
 西 数男


カテゴリ : 文化・歴史
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