ホーム > カルデラの拡大

カルデラの拡大

概要

阿蘇地域の地図を見るとカルデラ縁には半月形に入り組んだ地形(湾入)がいくつもあります。阿蘇町内牧を取りまく部分はその典型です。湾入と次の湾入との間には、大観峰、兜岩、象ケ鼻などの岬が残され、湾と岬とが交互した地形が形作られています。このようなカルデラ縁の湾入地形は、陥没の直後にできた急なカルデラの壁が半月形に滑り落ちて出来たと考えられてきました。カルデラの壁は最初の陥没に引き続いて崩落、後退し、カルデラは拡大します。
阿蘇五岳の1つである根子岳は、以前は中岳火口丘の一つとして考えられていましたが、少なくとも「阿蘇-3」火砕流より古い火山であることが判明しています。その火山の周囲の壁が後退したため、根子岳は結果的にカルデラ縁の岬に位置し、中央火口丘のように見えています。
大観峰、象ケ鼻、妻子ヶ鼻などカルデラ縁の岬にあたる部分では先阿蘇火山岩類が露出しています。これらの岬よりやや内側の火口原で行われた4本のボーリングでは、150~480㍍の深さで基盤の白亜紀花崗岩に達しています。また、南郷谷でも一つの湾入の中で242㍍で白亜紀層と考えられる堆積岩に達しています。さらに、基盤の形と深さを反映する重力異常図でも、重力の急傾斜がカルデラ縁よりもかなり内側にあることを示しています。このような資料から、カルデラ形成に関わる環状の断層が存在するとすれば、カルデラ壁にある岬のさらに内側になければなりません。
精密な重力による解析では、カルデラの地下構造は、かつては、漏斗型であると考えられていましたが、むしろ底の面が平らな「たらい」に近い構造が推定されます。また、火砕流の噴出がいくつかあり、その名残がカルデラの形に影響している可能性が考えられるようになりました。さらにカルデラ内のボーリングによって厚さ200㍍に達する強溶結の「阿蘇-4」火砕流堆積物が見つかっており、新しい発見が得られましたが、まだまだ未知の部分が多く残されています。

参考

阿蘇火山の生い立ち

カテゴリ : 阿蘇の自然
索引 :

このページのURL:

TOP