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サンショウウオ

概要

サンショウウオの仲間は、ブチサンショウウオ・ベッコウサンショウウオ・オオダイガハラサンショウウオ・オオイタサンショウウオの4種が知られており、いずれも日本固有となっています。産卵のとき以外は陸上で生活し、涼しくて暗い場所を好み、晴れた日中に見かけることはまずありません。
ブチサンショウウオは、西日本に分布する渓流性のサンショウウオで、外輪山外側斜面の菊池渓谷をはじめ、小国町上田、南小国町の立岩や満願寺、波野村赤仁田、高森町、山都町のほかカルデラ内の阿蘇町などでも生息が確認されています。

ベッコウサンショウウオ

ベッコウサンショウウオ(熊本県指定の天然記念物)は、全体が鼈甲(ベッコウ)のような模様をしていて、日本産サンショウウオでは最も美しいとされています。ブチサンショウウオに近縁の山地渓流性の九州固有種で、明治17年に熊本県内で採集した雌1匹をもとに大正12年に新種として発表されました。分布の中心は、九州中央山地で、南外輪山外側斜面の山都町南部の蘇陽峡をはじめ五ヶ瀬川水系の馬見原・菅尾・今村・今滝下などで生息が確認されており、ほとんど分布の北限です。

オオダイガハラサンショウウオ

オオダイガハラサンショウウオは、前2種同様山地渓流性で、紀伊半島から四国、九州にかけての山地の渓流沿いの自然林に生息しています。明治44年に奈良県の大台ケ原で採集した雄1匹により、翌明治45年に新種として発表されました。
全体が青みを帯びた黒色で、日本産小型サンショウウオの中では最も大きく、全長が20cmに達するものもいます。高森での生息が確認されています。

オオイタサンショウウオ

オオイタサンショウウオは、その名のとおり大分県内を主産地にし、標準産地の佐伯市城山のオオイタサンショウウオ天然記念物になっています。大分県内では主に沿岸部の平地から丘陵地にかけて生息していますが、分布の西限にあたる東外輪山外側斜面の波野村や産山村高森町などの大野川水系源流域の生息地は海抜600~800mと高く、産卵期も遅くなっています。

オオサンショウウオ

オオサンショウウオは単に大きいというだけでなく、目蓋を欠き、完全な水生であるなど小型サンショウウオとはかなり遠縁で、別の課オオサンショウウオ科に分類されています。日本のオオサンショウウオのほか中国中部にチュウゴクオオサンショウウオ、北アメリカ東部にアメリカオオサンショウウオの3種がいます。オオサンショウウオ科の最古の化石は北アメリカの約6,000万年前の地層から見つかっており、これが大西洋側からヨーロッパに進出し、古代3紀斬新世(約3500万年前)以降アジアにも広がりました。なお、チュウゴクオオサンショウウオは、最も大きくて1.5mにもなる種で、頭部のいぼ状突起物は小さく対をなして並んでいることが多くなっています。頭部は滑らかで目が割合目立って見えます。アメリカオオサンショウウオは、小さく、最大でも75cmどまりで、あごの下や体側のひだ、尾の付け根などにしわが多く、成体になっても一対の鰓裂(えらあな)が残っていることなどで日本産のオオサンショウウオとは区別できます。

イモリ

イモリは、腹面が赤いことからアカハラとも呼ばれています。イモリ科の中では最も北方に分布する日本固有種で、本州・四国・九州の池や流れの緩い小川、水田などに生息します。地域により腹部の模様や色合い、求愛行動が異なり、東北・中部・西日本・九州の4つの集団に大きく分けられており、繁殖期には多数集まるが、近年、平地での生息数は著しく減少しているようです。

阿蘇地域ののサンショウウオ

阿蘇では、北外輪山内壁麓の阿蘇市湯浦の花原川で昭和49年7月24日に1匹(体長73cm、体重5.2kg)採集され、昭和53年5月17日にも同じく阿蘇町西湯浦の花原川上流で1匹(体長91cm、体重8kg)採集されました。
このほか北外輪山外側斜面の小国町杖立川じん渕で昭和35年7月に1匹(体長77cm)採集されており、菊池市の菊池川の古川兵藤井出で昭和40年6月19日に1匹(体長65cm、体重6kg)採集されています。また、南外輪山外側山麓の山都町馬見原と山都町浜町との間の緑川上流で昭和30年6月22日1匹(体長53cm)さいしゅうされています。いずれも成体ばかりで、幼生の確認はなく、繁殖しているかどうかは不明です。
繁殖期には産卵巣穴がある場所に集まって来て、産卵後はどこへともなく分散していくということです。九州では大分県宇佐郡院内町の駅館川上流での生息が古くから知られており、この地域から移動してきたものが見つかったのではないかとも考えられています。オオサンショウウオは幼生でも大きくて目蓋がないのでほかのサンショウウオの仲間とは区別できるので、今後の観察・研究が期待されます。


カテゴリ : 阿蘇の自然
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