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侵食

概要

阿蘇カルデラの周辺からは、多くの河川が流れ出していますが、いずれも深い谷を形成しています。しかも、谷の両岸には垂直な断崖が見られます。この断崖は、阿蘇火砕流の溶結凝灰岩によるものです。この溶結凝灰岩は、カルデラが出来る前の今からおよそ数十万年前から4回にわたって噴出した大規模な火砕流堆積物で、それまであった阿蘇カルデラ周辺の谷を厚く埋め尽くしています。
火砕流堆積物は他の岩石よりも柔らかく、また、ひび割れなども多いので、この火砕流で埋め尽くされた谷の低いところを流れる河川が、凝灰岩の河床を少しずつ削っていきます。
河川の水が河床を侵食し掘り下げていく働きを下刻作用といいますが、その結果として、深い浸食谷が形成されることになります。そのときには、谷の両脇に削り残された溶結凝灰岩が絶壁をつくり柱状節理が発達している場合が多くなります。
高千穂峡(宮崎県高千穂町)や、蘇陽峡(山都町)、菊池渓谷(菊池市、阿蘇町)などの渓谷は、このようにしてできたものです。高千穂峡などでは、河原の石が河川の水流で回転し岩質的に柔らかい溶結凝灰岩の河床に、直径数10㌢から1㍍くらいの丸い穴を穿ってできた「おう穴」が至る所に見られます。また、このような溶結凝灰岩の崖の亀裂や地表の境目からは、豊富な湧水が流れ出し水源地となっている所が多く存在ます。

侵食地形

阿蘇五岳の東端に位置する根子岳と西に位置する杵島岳往生岳は、対照的な侵食地形を持つ山です。
これらは阿蘇火山の活動によって形成された山ですが、阿蘇地方に多量に降る雨によって少しずつ山肌が削られて荒々しい山や山腹に引っかき傷をもった山など独特の地形を示しています。表面を厚い火山灰で覆われた円錐型の火山があると、この山体に降った雨は、山の斜面を這って流れ落ちます。このとき、山肌の脆いところがあったり、大量の水が集まるような山裾では、表面が崩壊を起こすことが多くなります。そして、いったん山体斜面の崩壊が起こると、続いて壊れた斜面の上部が次々と崩れていき、山裾の方から頂上に向かって谷が次第に伸びていくことになります。これを頭部侵食と呼びます。
杵島岳往生岳は、頭部侵食によって草原の山体斜面に出来た何本もの縦筋が見られます。現在、この浸食谷は山ができてから、まだあまり時間が経っていないため、この浸食谷は頂上まで達しておらず、幼年期の地形を示しています。浸食谷の幅は、数㍍~数十㍍くらいで厚い火山灰表土を削っているが、実際にこの谷に入ってみると意外と谷幅は広く、草やかん木が生い茂っています。
一方、根子岳は、涅槃像の顔の部分にあたる山で、荒々しい岩肌や頂上をつくる天狗岩などのような険しい溶岩の岩峰がそびえています。現在では水によって表面が放射状に侵食し尽くされています。
根子岳杵島岳往生岳の2つの火山帯の地形の違いは、主な理由として根子岳は古い火山で、杵島岳往生岳はまだできて新しい火山であるということです。また、最近の研究では、中央火口丘群に属する新規の火山ではなく、カルデラの外輪山を作っている古い火山であると言われています。
このように、雨による侵食期間の長短と山をつくる岩質が山の形を変化させています。

参考

阿蘇一の宮町史 阿蘇山と水

カテゴリ : 阿蘇の自然
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