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地下水質

概要

阿蘇谷では、町や地区(集落)の水道水源はほとんどが外輪山のすぐ下にあリます。そのほかは中央火口丘由来の水源が水源が旧阿蘇町と旧一の宮町の町界付近にあるだけで、赤水などの広い阿蘇谷の中央部には水源が見られません。この地区は、水量的には地下水が豊富なところなのになぜなのでしょうか。

外輪山地下水

広い外輪山上の原野一帯に降った雨を起源とする地下水です。このタイプの地下水の分布域はカルデラ内縁部で阿蘇谷のほぼ黒川右岸、南郷谷では白川左岸の地域です。水質は溶存成分量が極めて少なく、水質はCa-HCO3型を示します。カルデラ内では最も水質がよく、湧水を含めて多くの町村で水道水源として利用されています。

阿蘇山地下水

この水質型は次に述べる赤水型、下田型とともに中央火口丘群への降水が起源の地下水です。分布域は阿蘇谷では西岳川をほぼ境界とする東半分と、西側の中央火口丘群の山麓部です。また、南郷谷では白川を境界とする中央火口丘群の下田型地下水の分布地域を除く地域です。水質はCa-HCO3型+Ca-SO4型が一般的ですが、分布域の東側ほど外輪山地下水の混入もありCa-HCO3
型が主体となっています。また、西側に行くにつれてCa-SO4型主体と変化し、赤水型地下水に近い水質となります。鉄、マンガンは南郷谷では少ないが、阿蘇谷では黒川沿いおよび西側で多くなります。フッ素の含有量も阿蘇谷の西側で多くなる傾向にあります。このようにカルデラ内では最も広範囲に分布し、水質は分布域の西側より東側で、また阿蘇谷より南郷谷のほうが、溶存成分量、鉄分、フッ素含有量などが少なく良質です。環境庁の名水百選に選定されている南阿蘇村白川水源湧水や宮地の地下水がこの水質タイプに属します。

赤水型地下水

この水質型は火山活動の影響を強く受けた地下水です。分布域は、阿蘇谷の西岳川をほぼ境界とする西半分の低地部です。水質は典型的なCa-SO4型で溶存成分が非常に多い。赤水という地名もこれに由来すると思われますが、鉄分が非常に多いのが特徴です。このため阿蘇町乙姫周辺の農業用水路は川底が茶褐色に染まっているのが見られます。溶存成分量を代表する電気伝導度の値は500~350μS/cm、主成分の硫酸イオンは200~1700㎎/㍑、また全鉄も大半が20mg/㍑を超え、最高も90mg/㍑以上と多い。また、マンガン、フッ素の含有量も高く、鉱泉水に近い。また、水温も18~30度と高く、一部温泉水となっているなど特異な水質です。この原因としては、阿蘇谷のJR豊肥本線内牧駅の北東部にある北塚、灰塚、本塚という三つの低い丘陵に起因しています。現在この三塚は本塚火山と呼ばれる古い火山でその頂上部分がカルデラ埋積層に埋め残されて頭を出していると考えられています。
したがって、この火山の底では火山活動の名残である噴火口や温泉地獄などの存在が推定されます。そして、この地下から地表に向かって火山由来の強い酸性の地下水が湧き上がってきます。そこに、中央火口丘群から流動してきた地下水阿蘇山地下水)が流れ込み、両者の水が混じって、地下水位の低い阿蘇町黒川から内牧、乙姫、市ノ川、赤水方面へと広がっていく仕組みが考えられます。このことは、阿蘇谷の地下構造調査、一斉測水による地下水の流動調査、それに地下水質調査の結果を重ね合わせる事により説明できます。

下田型地下水

この水質型は南郷谷西部の長陽村下田から白水村川地後にかけてのごく限られた地域に分布します。水質はCa-SO4型+Na-HCO3型で、溶存成分量は、赤水型に次いで多い。水質的にはやはり火山活動の影響を強く受けた地下水です。水温も16~29度と高くなっています。

湖成型地下水

この水質型は他と異なり停滞型の地下水と考えられます。分布域は阿蘇谷では阿蘇市今町、一の宮町下原付近の黒川の低地部と、南郷谷では南阿蘇村前川付近です。水質はNa-HCO3型で、溶存成分も比較的多く、外輪山型や阿蘇山型の水質に比べれば劣ります。
ちなみに、表流水である白川の水質についてみると、カルデラ内を流れる黒川と白川の水質の違いは、この赤水型地下水の存在の有無と密接に関係しています。両河川が合流する立野から下流の白川本川は、酸性が強く、鉄分、フッ素などが多い赤水型の地下水が流れ込む黒川の影響を強く受けています。

参考

阿蘇一の宮町史 阿蘇山と水

カテゴリ : 阿蘇の自然
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