ホーム > 地盤沈下

地盤沈下

概要

25年間で最大77㍉沈下

日本の国土の地盤の動きを測量している官庁に国土地理院があります。ここでは、全国の主要道路に2㌔に1ヶ所の割合で設置した一級水準点の標高を、普通数十年に1回の割合で定期的に測量し、地盤の沈下や上昇などの変化を観測しています。
特に地震発生の恐れのある地域や地下水の過剰揚水などによって地盤沈下が著しい沖積平野などは、災害防止のために密に地盤の動きを監視する監視地域に指定されています。このような監視地域の場合、毎年1回測量が実施されますが、普通はおよそ20年に1回のローテーションで全国の水準点測量を繰り返し行なっています。
熊本県内で測量する一級水準点の骨格は、南北方向では鹿児島市から熊本市を通り福岡市に通じる国道3号、東西方向では熊本市から阿蘇を通って大分市に向かう国道57、それに熊本市から上益城郡矢部町を通って宮崎県日向市に向かう国道445号に沿った道筋に設けられています。

調査

阿蘇のカルデラの中を通る国道57号沿いの水準測量は、近年では第一回が昭和16年2月~3月(1941)、第二回が昭和38年10月~39年2月(1963~1964)、第三回が昭和63年6月~8月(1988)の3回行われています。
測量結果を見ると、長陽村から一の宮町にかけてのいわゆる阿蘇谷部分の地盤の落ち込みが他に比べて著しく大きくなっています。沈下の大きいところでは昭和38年から63年の25年間で最大77.1㍉となっていて、これを年間での沈下量に直すと約3㍉となり、平均して年間数ミリ程度沈下していることになります。この傾向は第一回と第二回の測量結果の比較でも同様で、カルデラ内の阿蘇谷は継続して沈降していると推定されます。
この数値は、関東平野などの地盤沈下の激しい所沢などの観測データが年間最大数㌢ということと比較すれば小さいのですが、阿蘇カルデラの中の地盤が連続して沈下傾向にあるというじじつには着目する必要があります。たとえ年間3㍉の沈下量といっても、地質学的な時間のスケールからみると、この傾向が今後千年間続くと仮定すると、3㍍もの大きな値となります。勿論これだけで未来のことを正確に予測することは困難ですが、地盤沈下は単に地面の標高が低くなるという表面的な結果だけでなく、地下構造のいろいろなものも関係しているので、注目する必要があります。
沈下の原因としては、第一に阿蘇谷は新しい堆積物で厚く埋められおり、まだ地盤が安定していないため地域の地盤が沈下していることが考えられます。第二に、地下水を多量に取水しているため軟弱粘土層から水が搾り取られて粘土が収縮していることが考えられます。関東平野などで見られる地盤沈下と同じ、地下水の過剰採取による影響の始まりです。第三は、断層運動などの構造的な地盤の動きに伴うものです。硬い地盤も地殻変動で周りから圧力を受けて上昇や沈降等の動きをする場合があります。阿蘇カルデラの中には大分から熊本にかけて大きな断層(構造線)が通っており、この断層の影響で阿蘇谷が沈降していると考えられます。第四に、阿蘇カルデラは陥没によって形成されたものといわれており、この影響が現在も残って沈降の傾向にあるという見方もあります。ここにあげた理由のどれが主な原因か、あるいは、これらが複合的に組み合わさって引き起こされた現象かもしれません。

参考

阿蘇一の宮町史 阿蘇山と水

カテゴリ : 阿蘇の自然
索引 :

このページのURL:

TOP