ホーム > 文化遺産

文化遺産

阿蘇火山についての記録は、7世紀初期に成立した中国の史書である「隋書」倭国伝が最初です。その後「日本後紀」では、796年7月22日条に「太宰府言、肥後阿蘇郡山上有沼、其名曰神霊池云々」ちあるように、山上の神霊池の異変は中央政府にも報告され、健磐龍命を主神とする阿蘇神社は、次第に国家的な崇拝を集めていきました。また古代から中世に隆盛を極めた西願殿寺(天台宗)のお修験者らも、この山を振興の対象として崇め、民衆は「お池さん参り」と称して火口への参詣なども行いました。これらの信仰は、今なお連綿と継続されており、火山信仰という伝統のひとつの典型をなしています。

阿蘇には古来、この地に住みつき、たくみに火山特有の地形を開拓し、畏怖すべき自然と時に対峙し、時に共存しながら生活の足跡を残していった先人の記憶が、阿蘇火山を神格化した健磐龍命の阿蘇開発にまつわる神話伝承という形で多く残されています。命を祀る「阿蘇神社」(国指定重要文化財)を格とする信仰が根付いており、その信仰のあり方を示す「阿蘇の農耕祭事」(国指定重要無形文化財)など多様な民俗行事が、今なお脈々と伝えられています。また、夏目漱石の小説「二百十日」のほか、落合直文、徳富蘇峰をはじめとする数多くの文人たちの創作の舞台となっており、雄大な火山地形と広大な草地の景観が文学作品と密接に関係しています。

また、この地域は温泉が豊富な場所としても知られています。夏目漱石や与謝野鉄幹・晶子など多くの作家が訪れた「内牧温泉」全国的にも有名になった「黒川温泉」弘方大師が訪れたと伝えられる歴史ある「杖立温泉」阿蘇中岳に近い「地獄・垂玉温泉」などが点在。この地域は「阿蘇温泉郷」としてのイメージ化の定着を図っており、従来から多くの温泉利用客を集客しています。

また、阿蘇カルデラを中心としたこの地域一体は、1934年に日本発の国立公園の一つとして「阿蘇国立公園」に指定されました。その後の区域の拡張などを経て、1986年に「阿蘇くじゅう国立公園」の名称に改称され、現在に至っています。

写真

阿蘇神社

夏目漱石 二百十日

参考

阿蘇ジオパーク
阿蘇ジオパークのジオサイトとして選定されています。


カテゴリ : 阿蘇ジオパーク
索引 :

このページのURL:

TOP