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火振(ひふ)り神事(しんじ)

 毎年3月20日前後、阿蘇神社三の宮・年称神(としねのかみ)は、お嫁(よめ)さんを迎えるのです。

 春祭りの申(さる)の日には、御前(ごぜ)迎(むか)えといって、お嫁さんを赤水の吉松宮(よしまつぐう)の南にある宮山(みややま)(乙姫山・鏡山・鷹山(たかやま)等ともいう)からお連れすることになっています。

 その日の朝、阿蘇神社から神主(かんぬし)さんと若者たち5・6人で迎えに行くのですが、目かくしをした神主さんが林の中の樫(かし)の木を手で探しあてます。最初、手にふれた枝がお嫁さんとされていました。真綿(まわた)で包まれた花嫁のご神体は、神主や若者達に守られて、浜神社(はまじんじゃ)~横道(よこみち)~渋川(しぶかわ)~蔵原(くらばる)~竹原(たかわら)を経(へ)て宮地(みやじ)に向かいます。途中、それぞれの場所で決められた儀式(ぎしき)がありますが、西町(にしまち)の薬師堂(やくしどう)では花嫁であるご神体(しんたい)に樫の葉をかざり、ひえの御飯を供(そな)えます。宮地に入ると、塩井川(しおいがわ)で身を清め、白粉原(けしょうばる)では米の粉の白粉(おしろい)でおしゃれをします。

 辺(あた)りがうす暗くなった宮地の町中では、人々が思い思いに手にしたカヤを束(たば)ねた松明(たいまつ)に火をつけて、一行の到着を今か今かと待ち受けています。松明が打ち振られ、阿蘇神社の楼門(ろうもん)が闇(やみ)の中におごそかに浮かび上がると、やがて花嫁行列がしずしずと松明の光の輪の間を抜けて行きます。
 阿蘇神社での婚姻(こんいん)の式が終わると、御輿(おみこし)に乗り町中を抜けて川辺にある川辺土井(こうべんどい)へ向かい、左手で二矢放ちます(ひだり弓といいます)。

 三の宮の前を通る時、行列の一行は一言も言葉を交わしてはならず、物音(ものおと)も立てず静かに静かに通り過ぎて行きます。
 阿蘇神社・三の宮・年祢神と花嫁御前(はなよめごぜん)は、こうして結ばれる運びとなるのです。年称神は、彦八井命(ひこやいのみこと)・草部吉見神(くさかべよしみのかみ)・国龍神(くにたつのかみ)ともいい、農家にとって一番大切なお米の神様とされています。吉松宮には年称神、比咩御子神(ひめみこのかみ)が祭られています。

参考

くらしのあゆみ 阿蘇 -阿蘇市伝統文化資料集-


カテゴリ : 文化・歴史
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