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牛糞

概要

放牧場の牛は、1日に体重の約10%もの草を食みます。それだけに排泄物の重量も多く、糞で体重の約5%(30㌕)、尿で約3%ほどが毎日排泄されます。排糞の回数は1日に15回ほどで、1回の糞の重さは平均2㌕。さらに具体的な数字で示すと、排糞は草地に落下した状態で直径30㌢、厚さ7㌢ほどの大きさになります。
糞が落下した周辺の草は、その窒素成分(0.5%)によってよく繁茂します。緑が濃く、他の草よりも美味しそうに見えますが、牛はここに近づいても何も食べずに通り過ぎます。窒素成分の多い草は苦いからで、この状態の草地を「不食過繁地」といいます。
不食過繁地は直径90㌢ほどに拡大。その中の草は90日間ほどは牛から食べられずに成長し、この間に開花結実して種子を落とします。牛は草原への肥料散布の機能(10㌃当たり窒素約3~5㌕)を持ち、牛の排糞尿で草の成長が守られます。この草と牛と糞の循環システムは、放牧地における自然の摂理となっています。
また、この糞は阿蘇の野鳥や昆虫の生態系維持にも一役買っています。一の宮町内の小堀牧、二塚牧、町古閑牧場など草丈の短いシバ型の放牧地を観察すると、この糞の塚ではコガネムシの仲間の幼虫が冬を過ごしているのを目にします。そして、春先にはその幼虫を(きじ)などが引っ掻いて食べ、産卵のための栄養補給に備えています。


カテゴリ : 生活
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