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阿蘇の虎舞

阿蘇の虎舞は不思議な魅力を持った芸能で、かつては阿蘇谷の各地で演じられていました。文化財に指定されている虎舞は7地区ありますが、後継者不足等により活動を休止している状況もあります。しかし、小倉地区の虎舞は、山田小学校の子ども虎舞活動を契機に46年ぶりに見事復活を成し遂げ、各地で受け継がれている伝統芸能への良い刺激となっています。

 阿蘇の虎舞の起源は、はっきりと分かっていませんが、豊年の年の旧正月に地域総出で虎舞を演じ、豊作を祝う正月の風流(ふりゅう)・田楽(でんがく)から始まったものと考えられています。阿蘇の厳しい自然環境では豊作は続かず、数年に一度は凶作に見舞われていました。そのような生活の中、獲得した豊作への感謝と来年の豊作の願いを込め、農耕文化から誕生した芸能です。

 虎舞と呼ばれる芸能は各地にありますが、阿蘇に伝わる芸能はそれとは異なり獅子頭で演じます。阿蘇神社に奉納される獅子舞と区別し、地域のレクリエーションとして受け継がれ、舞い続けられてきたため虎舞と呼ぶようです。

 また、元は手作りの頭(かしら)を使い、虎の模様を描いた着物を付け、多いときは1頭に6人も入って賑やかに演じていました。しかし、既製品の獅子頭を購入するようになり、着物も獅子頭に相応しいものに変化し、2人までしか入らないのが普通になってきました。

 虎舞は、演じるものも鑑賞するものも共に楽しむという趣旨が継承され、時代を追うごとに工夫し改善されています。「舞い出し」「出は(羽)」「壁塗り」で始まり、虎舞の神髄の「玉とり」や曲芸的な「三段つぎ」で終わるのを基本に、地域の特長を活かし賑やかな囃子(はやし)にあわせて演じられています。

 演目は「舞い出し」「出は(羽)」「壁塗り」「十禅寺」「二段舞」「お膳舞」「俵踊り」「三段つぎ」「曲相撲」「玉とり」「子持ち」などがあり、囃子は大太鼓・小太鼓・三味線・笛・鉦(かね)などです。

※風流とは、趣向を凝らした衣装をまとい歌ったり踊ったりする芸能。田楽とは田植えの際に豊作を祈る田遊びから発達した芸能。
  

各地区の虎舞

阿蘇の虎舞(成川) - 阿蘇の虎舞(狩尾) - 阿蘇の虎舞(永草) - 阿蘇の虎舞(折戸) - 阿蘇の虎舞(蔵原)

写真

 

参考

~文化財を大切に~  みんなで護ろう文化財



カテゴリ : 文化・歴史
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