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阿蘇火砕流堆積物

概要

阿蘇火砕流体先物は現在の阿蘇の地形の原型となるカルデラの形成にあずかった大規模な火山噴火活動(熱雲式噴火)によってもたらされた地層です。その噴出年代は今からおよそ30万年前から8~9万年前と考えられており、その噴出年代により古い方からAso-1、Aso-2、Aso-3、Aso-4の4つに区分されています。
Aso-1~Aso-3は、噴出当時高温であったため軽石や火山灰が強く融合して堅硬な溶結凝灰岩となっています。この岩石は熊本では灰石と呼ばれ、柔らかく加工しやすいため、石灯篭や石垣などに広く利用されています。Aso-1は、遠見ヶ鼻や兜岩などで分布が欠如するほかは、外輪山内壁東部では標高600㍍付近から上部に、西部では標高800㍍付近から上部に、50~100㍍の厚さで帯状に分布しています。多量の異質岩片を含み、いずれも強く溶結していて灰黒色あるいは赤褐色を呈しています。Aso-2およびAso-3も、似たような性状を示し、Aso-1の上部を覆うような形で分布しています。これに対してAso-4は一般的に白色の軽石を大量に含んだ軽石凝灰岩です。南九州に広く分布している姶良カルデラからの噴出物である「シラス」によく似ていますが、場所によっては溶結凝灰岩になっているところもあります。Aso-1、Aso-2、Aso-3とはAso-4が長さ数ミリ程度の黒灰色の角閃石の六角柱状の結晶を含むことと、溶結凝灰岩の場合には岩石の硬さがどちらかというとAso-4の場合には軟~中硬岩に近く柔らかいことで区別できます。
Aso-4は、阿蘇外輪山から山麓の台地や河川の谷を埋める形で、中九州に広く分布しています。阿蘇外輪山の最上部付近には、ローム層に覆われて外輪山内壁にそって帯状に分布していますが、層の厚さはさほどではありません。象ケ鼻より東側ではAso-3を覆うようにして溶結部が分布していますが、基質は軽石質で、多くの安山岩の異質岩片を含んでいます。
これらの地層は阿蘇、特に外輪山西麓の肥後台地から熊本市方面にかけて厚くしかも広範囲に分布しています。そしてこれらの地表のクラック部には大量の地下水が貯留されており、この地層は極めて貯水能力に優れた帯水層となっています。この地層の存在は熊本市及びその周辺地域が全国的にも稀な地下水に恵まれた地域となっていることの大きな要因の一つで、とても重要です

参考

阿蘇一の宮町史 阿蘇山と水

カテゴリ : 阿蘇の自然
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