概要
活断層(かつだんそう)とは、数十万年前以降に繰り返し活動しており、将来も活動する可能性が高いと判断される断層のことです。地震発生時に地表にずれ(地震断層)が現れることがあるため、防災上重要な調査対象とされています。阿蘇地域には布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯に属する断層をはじめ、複数の活断層が分布しています。平成28年(2016)熊本地震では、これらのうち布田川断層帯の一部が活動しました。
平成29年(2017)10月、国土地理院は熊本地震を踏まえた調査結果として、2万5千分1活断層図「阿蘇」(新規作成)および「熊本」(改訂版)を公表しました(国土地理院、2017年)。この調査により、従来の想定より断層が延びていることや、新たに確認された活断層の存在が明らかになりました。
地震断層と阿蘇周辺地域の活断層の一覧
国土地理院の2万5千分1活断層図「阿蘇」には、以下の14の断層(活断層12、推定活断層2)が表示されています。長さは同図に表示された範囲のものです(国土地理院、2017年)。
| No. | 断層名 | 概要 | 長さ | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| ① | 布田川(ふたがわ)断層 | 南阿蘇村河陽(かわよう)の阿蘇ファームランド付近から西原村(にしはらむら)小森(こもり)に延びる、横ずれを主体とした断層です。従来は阿蘇外輪山西縁(白川左岸)までとされていましたが、熊本地震後の調査で、外輪山の内側まで延びていることが地震断層とともに新たに確認されました。一部の区間には変位に伴う谷線の右屈曲が見られます。 | 10.4km | 活断層 |
| ② | 阿蘇市のオケラ山南縁を東西に延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。 | 4.5km | 活断層 | |
| ③ | 阿蘇市と菊池市の境界付近、ツームシ山北方を東南から西北に延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。 | 1.9km | 活断層 | |
| ④ | 阿蘇市端辺原野(はたべげんや)から菊池市との境界付近まで延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。熊本地震後の調査で新たに確認された活断層です。 | 2.5km | 活断層(新規確認) | |
| ⑤ | 阿蘇市的石端辺牧野(ぼくや)から西北に延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。熊本地震後の調査で新たに確認された活断層です。 | 1.2km | 活断層(新規確認) | |
| ⑥ | 阿蘇市端辺原野からツームシ山の北側を経て菊池市まで延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。一部の区間で熊本地震による地震断層が確認されました。 | 4.5km | 活断層 | |
| ⑦ | 阿蘇市からツームシ山の南側を経て菊池市まで延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。一部の区間には変位に伴う谷線の右屈曲が見られます。 | 5.5km | 活断層 | |
| ⑧ | 的石牧場Ⅰ断層 | 阿蘇市から大津町(おおづまち)を経て菊池市まで延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。 | 2.1km | 活断層 |
| ⑨ | 的石牧場Ⅱ断層 | 阿蘇市的石原野から大津町まで東西に延びる、北側隆起(南落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。 | 2.7km | 活断層 |
| ⑩ | 的石牧場Ⅲ断層 | 阿蘇市的石原野を東西に延びる、南側隆起(北落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。断層全体に撓曲(とうきょく/地層がたわむように変形した構造)を伴っています。 | 1.6km | 活断層 |
| ⑪ | 阿蘇市車帰(くるまがえり)牧野から大津町の矢護川(やごがわ)を経て菊池市に延びる、南側隆起(北落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。大津町の区間では変位に伴う谷線の右屈曲が見られます。 | 4.6km | 活断層 | |
| ⑫ | 阿蘇市坂ノ下から大津町真木(まき)に延びる、南側隆起(北落ち)を主体とする縦ずれを伴う断層です。一部の区間で熊本地震による地震断層が確認されました。 | 4.9km | 活断層 | |
| ⑬ | 阿蘇市車帰牧野付近から大津町古城を経て同町前原(まえばら)付近に延びる断層です。存在は推定されているものの、活断層として確定されているものではありません。 | 5.7km | 推定活断層 | |
| ⑭ | 大津町瀬田付近から同町高尾野(たかおの)に延びる断層です。古城断層と同様、存在は推定されているものの、活断層として確定されているものではありません。 | 5.4km | 推定活断層 |
平成28年(2016)熊本地震との関連
平成28年(2016)熊本地震は、布田川断層帯・日奈久断層帯の一部が活動して発生しました。地震後、国土地理院は現地調査を実施し、平成29年(2017)10月に2万5千分1活断層図「阿蘇」を公表しました(国土地理院、2017年)。
この調査で明らかになった主な点は、以下のとおりです。
- 布田川断層は、従来の想定(阿蘇外輪山西縁・白川左岸まで)よりも外輪山の内側まで延びていることが、地震断層とともに新たに確認されました。
- 的石端辺Ⅰ断層・的石端辺Ⅱ断層は、熊本地震後の調査で新たに確認された活断層です。
- 的石端辺Ⅲ断層・坂ノ下断層では、一部の区間で熊本地震による地震断層(地表のずれ)が確認されました。
よくある質問
Q. 活断層とは何ですか? A. 数十万年前以降に繰り返し活動しており、将来も活動する可能性が高いと判断される断層のことです。地震の際に地表にずれが生じることがあります。
Q. 阿蘇地域にはどのような活断層がありますか? A. 国土地理院の2万5千分1活断層図「阿蘇」には、布田川断層・オケラ山断層をはじめとする12の活断層と、古城断層・瀬田断層の2つの推定活断層、合わせて14の断層が示されています(2017年時点)。
Q. 平成28年熊本地震とはどのような関係がありますか? A. 熊本地震は布田川断層帯・日奈久断層帯の一部の活動によって発生しました。地震後の調査で、布田川断層が従来の想定より内側まで延びていることや、新たに確認された活断層の存在が明らかになりました。
関連項目
参考文献
- 国土地理院「布田川・日奈久断層帯の活断層図「阿蘇」「熊本 改訂版」を公開」(2017年10月、平成29年)
