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阿蘇の自然

クマタカ

概要

クマタカ(Nisaetus nipalensis)は、タカ目タカ科クマタカ属に分類される大型の猛禽類です。日本では北海道から九州にかけての山地の森林に留鳥として広く分布しています。阿蘇地域では、草原に暮らす小動物を捕食する猛禽類の一種として観察されており、ノスリツミとともに阿蘇の草原生態系を代表する猛禽類に数えられています(阿蘇ジオパークオフィシャルサイト「阿蘇の動植物」)。

© 2011-2026 写真AC 
© 2011-2026 写真AC

全長はオスで約75cm、メスで約80cmとメスの方が大きく、翼開長は約160cmから170cmに達します。日本産のタカ科としては大型であることから「熊」の字が当てられたとする説があり、漢字では「熊鷹」のほか「角鷹(かくたか)」とも表記されます。

形態・特徴

上面は暗灰褐色、下面は白地に黒褐色の細かい斑があります。咽頭部(いんとうぶ)から胸部にかけては縦縞や斑点が、腹部には横斑がみられます。後頭部には白い羽毛の混じる短い冠羽(かんう)があり、これが角のように見えることが「角鷹」の名の由来とされています。

翼は幅広く、日本に生息する他の大型タカ科に比べて相対的に短いのが特徴です。これは、樹木の多い森林内を縫うように飛行するのに適した体型と考えられています。幼鳥は成鳥に比べて白っぽく、齢を重ねるごとに体色が暗色化し、4〜5年ほどで成鳥羽に生え変わるとされています。

生態

食性

動物食で、ノウサギ、リス、モグラなどの哺乳類、ヤマドリなど中型の鳥類、ヘビ類などを幅広く捕食します。多様な動物を食物連鎖の上位で捕食することから、クマタカは豊かな森林生態系の指標種のひとつとされています。

繁殖

繁殖期は11月頃から始まり、翌年3月頃までが求愛(きゅうあい)・造巣期にあたります。営巣地は急峻な谷の中腹が多く、モミやアカマツなどの針葉樹の大木のほか、ブナ・ミズナラなど広葉樹にも営巣します。産卵は3〜4月で、通常1卵を産みます。巣立ちは7〜8月頃ですが、親鳥は1〜2年という長い期間をかけて幼鳥を養育するため、繁殖の間隔は2〜3年に一度と長くなる傾向があります。

行動圏

つがいが生息を維持するには、約4km四方の広い行動圏が必要とされています。標高300m程度の低山帯から標高2,000mを超える亜高山帯の森林まで生息し、成熟した広葉樹林や、林内に空間のある針葉樹の壮齢林を採食環境として利用します。

保全状況

クマタカは、環境省レッドリスト(2020年見直し)において絶滅危惧IB類(EN)に、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種に指定されています(国土交通省九州地方整備局資料等)。

熊本県が公表する『改訂・熊本県レッドリスト2024』では、クマタカ(亜種 Nisaetus nipalensis orientalis)は絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されています(レッドリストくまもと2024)。狩猟や生息地の改変により生息数が少なく、営巣地周辺での大規模な土木事業・林業との共存が保全上の課題とされています。

よくある質問

Q. クマタカとイヌワシの違いは何ですか? A. どちらも日本を代表する大型猛禽類ですが、開けた草原・岩場を主な生息環境とするイヌワシに対し、クマタカは森林内での機動的な飛行に適した短めの翼を持ち、木立の間を縫うように狩りを行う点が異なるとされています。

Q. クマタカは阿蘇で見られますか? A. 阿蘇の草原には、草原の小動物を餌とするツミノスリ、クマタカなどの猛禽類が生息しており、観察例が報告されています(阿蘇ジオパークオフィシャルサイト)。ただし個体数は少なく、確実な観察には注意深い探鳥が必要です。

Q. クマタカは何を食べますか? A. ノウサギ、リス、モグラなどの哺乳類や、ヤマドリなど中型の鳥類、ヘビ類などを幅広く捕食します。

関連項目

森林

ノウサギ

モグラ

鳥類

参考文献

阿蘇ジオパークオフィシャルサイト「阿蘇の動植物」

環境省レッドリスト2020

『改訂・熊本県レッドリスト2024』

国土交通省九州地方整備局「地域を特徴づける生態系の保全に関する参考資料」

更新日: 2026-01-27 (火) 05:51:22 (233d)