概要
クルーズトレイン「ななつ星in九州」は、九州旅客鉄道(JR九州)が運行する周遊型の団体専用寝台列車(クルーズトレイン)です。2011年1月に「クルーズトレイン(仮称)」としてJR九州より発表され、同年5月28日に列車名と詳細が発表されたのち、2013年(平成25年)10月15日に運行を開始しました。日本初のクルーズトレインとして知られ、阿蘇駅を含む九州各地に立ち寄りながら、九州の自然・食・温泉・歴史文化を巡る旅を提供しています。
コンセプト
新たな人生にめぐり逢う、旅。
旅が特別なものだとしたら、この列車の旅は何と言い表せばいいのだろう。車窓から見えるのは、流れゆく風景。山々にそよぐ緑、海から香る潮風。大地には豊かな水が流れ、人は恵みに感謝しながら暮らしている。列車は、その中をただ駆け抜けるのではない。時に降り立ち、ふれあい、感じる。クルーズトレインという新しい旅のステージ。そこでしか出会えない景色や人々との語らいは、きっと新たな人生が発見できる。
"ななつ星"、あなたの夢を乗せて出発です。
(クルーズトレイン「ななつ星in九州」HPより)
列車名の由来
- 九州の7つの県を表現
- 九州の主な7つの観光素材を表現
- 自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車
- 7両編成の客車を表現
車両とデザイン
専用のディーゼル機関車1両(DF200形7000番代)と、77系客車7両で編成されています。内外装のデザインは、JR九州のデザイン顧問である水戸岡鋭治(みとおかえいじ)氏が担当しました。1号車はラウンジカー「ブルームーン」、2号車はダイニングカー「ジュピター」、3~7号車が寝台個室で構成されます。
運行開始当初の客室はスイート12室・DXスイート2室の計14室で、定員は28名でした。運行開始10年を迎えた2022年(令和4年)10月、客室数を減らして定員を20名とし、1.5畳の茶室を新設するリニューアルが行われました。
沿革
- 2011年(平成23年)1月:「クルーズトレイン(仮称)」としてJR九州が構想を発表
- 2011年(平成23年)5月28日:列車名「ななつ星in九州」と詳細を発表
- 2013年(平成25年)10月15日:運行開始。同日、阿蘇駅ホーム上にレストラン「火星」が開業
- 2016年(平成28年)4月:熊本地震により、経由路線の一つである豊肥本線(ほうひほんせん)の肥後大津~阿蘇間が不通となり、阿蘇駅発着ルートに影響
- 2016年(平成28年)6月:第1回「日本サービス大賞」最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞
- 2020年(令和2年)7月:令和2年7月豪雨により、当時の3泊4日コースが経由していた肥薩線の八代~吉松間が被災し不通に。同区間は2026年現在も一部で復旧のめどが立っていない
- 2020年(令和2年)8月8日:豊肥本線が全線で運転再開し、阿蘇駅発着ルートも復旧
- 2021~2023年:米国の旅行誌「コンデナスト・トラベラー」読者投票ランキング(列車部門)で3年連続世界1位を獲得
- 2022年(令和4年)10月:運行開始10年を機にリニューアル(前述)
- 2023年(令和5年)10月:運行開始10周年
- 2025年(令和7年)9月:「COOL JAPAN AWARD 2025」インバウンド部門を受賞
- 2025年(令和7年)12月:「Hospitality Awards 2025」の「Best Concept on the Move」部門を受賞
- 2026年(令和8年)3月:運行コースを全面刷新(3泊4日「雲仙コース」「高千穂コース」、1泊2日「くじゅうコース」)
- 2026年(令和8年)9月~2027年2月出発分:新たに3泊4日「由布院コース」と1泊2日「わいたコース」を追加
現在の運行コース(2026年7月時点)
2026年3月の刷新以降、コースは以下の体系で運行されています。出発月や本数は期ごとに変わるため、最新の運行日はJR九州公式サイトでの確認が必要です。
| コース名 | 泊数 | 阿蘇駅の扱い |
|---|---|---|
| 雲仙コース | 3泊4日 | 2日目に阿蘇駅到着。レストラン「火星」で朝食後、阿蘇外輪山でのエクスカーションを実施 |
| 由布院コース(2026年9月~新設) | 3泊4日 | 有田・鹿児島方面を巡るルートが中心 |
| くじゅうコース | 1泊2日 | くじゅう連山・大分県竹田を巡る |
| わいたコース(2026年9月~新設) | 1泊2日 | 2日目の行程はくじゅうコースと共通。阿蘇駅で昼食 |
阿蘇外輪山でのエクスカーションでは、世界農業遺産に認定された千年以上続く草原維持の歴史が案内内容として組み込まれています。
阿蘇駅とレストラン「火星」
阿蘇駅は運行開始時からななつ星in九州の停車駅で、運行開始と同時にホーム上(2番ホーム)にレストラン「火星」が開業しました。開業当初は、ななつ星の乗客向けの朝食提供に加え、一般客向けのランチ・ディナーメニューとしてあか牛・ポーク・チキンのグリルとビュッフェを組み合わせた内容で、一番人気は「阿蘇のあか牛」でした。
現在、ななつ星の乗客への食事提供は、コースの日程ごとに九州各地の飲食店やななつ星専属の料理長が交代で担当する形式に変わっています。例えば雲仙コースの2日目朝食では阿蘇駅近くのオーガニックレストランが、わいたコースの2日目昼食ではななつ星料理長自らが厳選した九州7県の食材による料理が、それぞれ火星で提供されます。
一般客も、有効な乗車券または入場券があれば火星を利用できるとされてきましたが、現行の営業時間・一般客向けメニューの詳細は変更されている可能性があり、最新情報の確認が必要です(残課題参照)。
受賞歴
- 2016年6月:日本サービス大賞 最優秀賞(内閣総理大臣賞)
- 2021~2023年:コンデナスト・トラベラー読者投票ランキング「世界の豪華列車」部門 3年連続1位
- 2025年9月:COOL JAPAN AWARD 2025(インバウンド部門)
- 2025年12月:Hospitality Awards 2025「Best Concept on the Move」部門
よくある質問
Q. ななつ星in九州は現在も阿蘇駅に停車しますか?
A. はい。2026年現在運行中の雲仙コース・わいたコースでは、2日目に阿蘇駅へ立ち寄り、レストラン「火星」での食事とあわせて阿蘇の自然を楽しむ行程が組まれています。
Q. ななつ星の定員は何名ですか?
A. 運行開始当初は28名でしたが、2022年10月のリニューアル以降は20名です。
Q. 記事内の「肥薩線・熊本経由」というルートは今も走っていますか?
A. いいえ。このルートが含んでいた肥薩線八代~吉松間は令和2年7月豪雨で被災し、2026年現在も不通です。運行コースは2026年3月以降、全面的に刷新されています。
参考文献
- クルーズトレイン「ななつ星in九州」公式サイト(JR九州)
- JR九州 企業情報「ななつ星 in 九州」事業紹介ページ
- 「ななつ星 in 九州」プレスリリース各種(JR九州、2025~2026年)
- Wikipedia「ななつ星 in 九州」「豊肥本線」「肥薩線」(2026年7月閲覧)
- 日本経済新聞「熊本地震被災の豊肥線再開」(2020年8月8日)