概要
節分祭とは、阿蘇神社(あそじんじゃ)で毎年2月3日の節分の日に行われる神事で、豆まきの代わりに「護摩木(ごまぎ)まき」が行われる全国でも珍しい祭りです。鬼を追い払う一般的な節分の豆まきとは異なり、悪しき神を萱(かや)で組んだ「葦塚(あしづか)」に招き入れて鎮め、再び天へ帰すという発想に基づく神事である点が最大の特徴です。
由来・起源
阿蘇神社の公式サイトによれば、この節分祭は江戸時代に京都の吉田神社(よしだじんじゃ)から伝わったという言い伝えがあるとされていますが、確実な史料による裏付けは示されておらず、あくまで伝承として扱われています。護摩木まきという形式で節分の神事を行う神社は全国でも吉田神社と阿蘇神社の2社のみとされ、両社の関係性を示す伝承として語り継がれています。
なお、阿蘇神社に伝わる年間の祭事のうち、御田祭(おんださい)や田作祭(たさくさい)などの稲作儀礼は「阿蘇の農耕祭事」として国の重要無形民俗文化財に指定されていますが、節分祭はこの指定には含まれておらず、農耕祭事とは別系統の年中行事として位置づけられています。
神事の内容
祭りは夕刻17時頃から始まります。拝殿には、萱と青竹を組んで作った高さ約3~4メートルの円錐形の「葦塚」が設けられます。神職4人がこの葦塚を四方から囲み、山海の幸を供えたうえで大祓詞(おおはらえのことば)を繰り返し奏上し、疫神(えきじん)や悪霊、穢れ(けがれ)を葦塚に招き入れて鎮める神事を行います。
神事が終わると、かがり火で清められた長さ25~30センチほどの護摩木が参拝客に向けて一斉にまかれます。本数は年によって異なりますが、1,000本から2,000本程度とされています。参拝客はこの護摩木を競って拾い集め、持ち帰って焚いたり、神棚に飾ったりして、その年1年間の無病息災を祈願します。
歴史的経緯
平成28年(2016)熊本地震以降
平成28年(2016)熊本地震により阿蘇神社の拝殿が倒壊したため、その後の節分祭は仮の拝殿で斎行されてきました。国の重要文化財に指定されている楼門(ろうもん)についても長期間にわたり災害復旧工事が続けられましたが、令和5年(2023)12月に工事が完了しました。
令和6年(2024)2月の節分祭は、楼門再建後初めて行われた節分祭として報道されました。さらに令和7年(2025)2月17日、阿蘇神社は平成28年熊本地震からの災害復旧事業がすべて終了したことを公式に発表しています。
現在の状況
- 開催日:毎年2月3日(節分の日)
- 開催時間:17時頃~
- 開催場所:阿蘇神社(熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083-1)
- 令和7年(2025)時点で、平成28年熊本地震からの災害復旧事業は完了しており、現在は本来の拝殿・楼門のもとで神事が行われています
よくある質問
Q. なぜ豆ではなく護摩木をまくのですか? A. 阿蘇神社の節分祭は、鬼を追い払う一般的な豆まきとは異なり、悪しき神を葦塚に招き入れて鎮め、天へ帰す神事です。神事の後にまかれる護摩木を持ち帰って焚くことで、その年の無病息災を祈願します。
Q. 節分祭は「阿蘇の農耕祭事」に含まれますか? A. 含まれません。「阿蘇の農耕祭事」は御田祭など稲作儀礼を中心とした国指定重要無形民俗文化財ですが、節分祭は別系統の年中行事です。
Q. 熊本地震の影響はどうなっていますか? A. 平成28年(2016)熊本地震で倒壊した拝殿は仮拝殿での対応が続いていましたが、重要文化財の楼門は令和5年(2023)12月に復旧工事が完了し、令和7年(2025)2月には災害復旧事業全体の終了が発表されています。
関連項目
参考文献
- 阿蘇神社公式サイト「節分祭(護摩木まき)」(asojinja.or.jp)
- 阿蘇神社公式サイト「おしらせ」(災害復旧事業終了、2025年2月17日付)
- 熊本日日新聞「『護摩木』拾い、無病息災願う 阿蘇神社で節分祭」(2026年2月)
- 日本テレビ系列ニュース「まくのは豆ではなく2000本の護摩木 阿蘇神社で珍しい節分祭」(2024年2月)
- 阿蘇インターネット放送局 WebTV-アソ「阿蘇神社 節分祭」(2019年・2023年)